失敗することもあります。失敗することがあったのは、美味しいお店を見つける難しさです。

失敗することもあります。失敗することがあったのは、初めて選ぶお店の選択の失敗です。

失敗することもあります。誰でも失敗することがあります。失敗することがあったのは、晩ご飯を食べに行くお店の選択の失敗です。

外食するとなると、いつも同じ店では飽きるし、新規開拓の精神で、新しいお店を見つけたいという前向きの気持ちが湧いてきます。

失敗しない美味しい店を探すには、まず、

①信用できる人の紹介があること、

②口コミ・噂が入ってくること、

③お店の中がお客さんで賑わっていること、

などです。今夜は、仕事が忙しくて、家で食事を作る暇もなく、家に着くと、ぶっつけ本番で外食に行くことになりました。

美味しい店を探すには、失敗することもあります。お店を探すのは、阪急六甲と、JR六甲道との間にあるお店です。ネオンは光っているものの、一軒一軒中を覗いてみても、お客様で溢れているようなお店は見つかりません。 あそこもだめ、ここもだめ、となると、入るお店がなくなるので、ある程度は目をつぶって、新しい店に飛び込んでみることにします。

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道路から少し階段降りた、地下フロアーに飲食店が集まっている所へ階段を降りてみると、選択肢は、寿司屋さんか、焼鳥屋さんです。失敗することもありますが行ってみます。

寿司屋さんのお店には、先客は誰もいません。

暖簾をみると、暖簾は一部が破れたまま放置されているので、これはちょっと、舞台の役者でいえば、破れた衣装を着ているようなものです。何日も繕わないで、ひょっとすると何ヶ月も、舞台衣装が破れていることさえ気にしなければ、舞台監督から良い役が回ってくるわけがありません。

従って寿司屋さんの選択肢はなくなり、残りの焼鳥屋さんの方に目が向きます。

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焼鳥屋さんのドアの外からそっと中を覗いてみると、ひとつのテーブルに三人がかけていて、お酒を飲みながら焼き鳥を食べています。

ここなら、全くお客様がいないわけでもないので勇気を振るって、失敗することもありますが、初めてのお店のドアを開け、お店に入ります。

お店の空気をゆっくりと観察し、お店のおやじさんがちゃんと挨拶するかどうか、一瞬の判断になりました。 おやじさんは、松葉博雄が入っていくと、焼き鳥のを焼く煙の中から、一瞬こちらを上目遣いで見て、「らっしゃい」と言ったので、席に座ることにします。

席に座ると、まずはビールの注文です。ビールの銘柄を尋ねてみると、うちは恵比寿だけですと、ハッキリ言っています。

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おや?っと思ったのは、一般的に、恵比寿を置く店はやや上等なお店だと思ってました。

飲食店は、ビール会社のキャッシュバックの率が良い方を選ぶのが一般的です。 でもこのお店は恵比寿だけのお店です。

キャベツは、焼き鳥が出る前から、角切りの生キャベツを、なんと無料で出してくれました。 えらい太っ腹なおやじさんだなと思います。

失敗することもありますが、では、注文です。 壁に貼ってあるメニューは、ひと皿3本入りですが、あれやこれや注文をすると、おやじさんは全ての注文をメニュー通りにひと皿3本にしないで、ひと皿を2本ずつにしましょうねと、お客さん優位な判断をしてくれました。 これは気の利いた判断です。

注文をして、恵比寿ビールを飲んでいる間、聞こえてくるのは隣の席の三人組のお客さんの話です。3人の中の女性客の一人が、「今日はリフォームの仕事がとれて・・・」と話してたので、これは仕事絡みの懇親会かなと思っていたりしていると、向かいに座っている沖縄のかりゆしウェアを着た人が、相づちをうちながら、たばこを吸い始めています。たばこの空気が流れてきて「かなわんなぁ」と思っていると、気配を察したのか、たばこ一本全部は吸いきらなくて、途中で終わってくれてホッとしました。

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二本目の恵比寿ビールは、おやじさんが一生懸命一人で、焼き鳥を焼いていて手が離せなさそうなので、松葉博雄の方が自分でビールをとりに行きました。

この時、カウンター越しで焼き場をみると、ちゃんと炭火で焼いていました。 炭火で焼き鳥を焼くとは、正道な焼き方です。 こうなると本格的な焼鳥屋さんだなと思いました。

おやじさんの焼き鳥の焼き方は、頭を振りながら調子をとりながら、体全体でやきとりを焼いています。 待つこと久しからず、やっと炭火焼きの焼鳥が、テーブルに届きました、。

見た目にも、しっかり炭火で焼いた焦げ目の跡が、皮にも、ずりのも、つくねにも、残っています。

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炭火で焼きながら、壺のたれをつけて、漬け焼きをしているので、味は凝縮さています。

あれやこれや頂きました。恵比寿ビールも2本頂きました。

それで、お勘定ですが、お勘定は意外に安いので、びっくりしました。 二人で2600円ですから、一人あたり1300円です。これなら、ランチの値段です。

当初、恵比寿に驚きながらも、キャベツの無料に喜んで、黒こげのような焼き鳥をひと皿3本の所を2本でひと皿に気を利かせてくれて、最後のお会計では、学生相手並のお値段になっていました。

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南の方を振り返ると、六甲道商店街の明かりが輝いています。ネオンは輝いていても、飲食店にはお客さんがあまり入っていません。 六甲は、神戸大学を中心とする学生街なので、今は夏休み中、客足が少ないのも、コンパがないせいなのでしょうか?

失敗することもあります。 新しいお店を選ぶには、失敗することもあります。今日の焼き鳥屋さんは、失敗でしょうか、成功でしょうか? それは、もう一度行きたいと思えば、新しいお店を見つけたことは成功といえます。

2011年9月7日(水)