大阪倶楽部

御堂筋の銀杏並木が色づいてきた頃、松葉博雄はある交遊会に招待を受け、大阪の御堂筋線淀屋橋駅から徒歩5分にある社交倶楽部「大阪倶楽部」に行くことになりました。

大阪倶楽部は、1912年に本格的な英国風社交倶楽部として設立されました。

会館は、名建築家安井武雄氏によって建築されています。

1997(平成9)年には文部大臣から有形文化財の指定を受けました。正面から建物をみれば、レンガ造りで付近の鉄筋、鉄骨コンクリート造りのビルとは重厚さが違います。

低い階段をあがると、木枠の重そうなドアがあり、自動扉ではない自分で押して入るドアです。

ドアを押して部屋に入ると、一番に目につくのは正面にある壁掛け式の噴水です。
近づいてみると、タイルの様な陶器製で作られ、人の顔のように見えます。

受付の方に「これは何ですか。」と聞いてみました。 これは、スペインのアルハンブラ宮殿にある「女人禁制」という意味だということです。

もちろん、2004年の今では女性は入室が自由です。 しかし、大阪倶楽部が出来た当時は、女性が入ることはなかったそうです。 この倶楽部は大阪の大手企業 を中心に会員制になっています。 ビジネスマンの会合や食事会の他、異業種交流としてビリヤードや囲碁、将棋、ゴルフなどの文化サークルもあります。

若いビジネスマンにはなかなか近づきにくい幹部役員達の社交場のようです。
私も若い時にこんな倶楽部に入れてゆったりとした気分で他業種の幹部社員や経営者の方々と談話する機会がもてたら、もっと見識と世界が変わったことだろうと思います。

名門企業の社史などが図書コーナーには収められていて、各社の経営史を研究するには文献が整っているようです。

最近はホテルでパーティを開催されていますが、このようなレンガ造りのクラシックな落ち着いた社交倶楽部で懇親会をすることは、ピカピカのホテルとは違った風格を感じさせてくれます。

食事会の後は下の階に喫茶と酒場のある談話室があり、ここでもお茶やビール、洋酒などを戴いて世間話をゆっくりすることができます。目で見える範囲の近くにビリヤードの台が何台か並んでいて、ビリヤードのサークル活動もあるようです。

大阪倶楽部を出て、この付近を散策してみました。

御堂筋で有名なビルは、以前は大阪倶楽部と同じ安井武雄氏が設計した大阪ガスビルが有名でした。 単にガスビルといえば分かりました。最近は新しい高層ビルに隠れてガスビルは以前ほど目立たなくなっています。

御堂筋は今では車が増えすぎたために、一方通行になりました。 昔、大正時代に関一(大阪市長)が御堂筋を計画した時は、こんな大きな街を作って一体どうするつもりなんだと言われたそうですが、昭和、平成の時代になるとこの大通りでさえ片側一方通行にしなくては車をさばけなくなってしまいました。

古い商家のような土塀造りの建物が残っています。一体、何かいなと思って近くによって表札を確かめてみました。

表札には「錢高組分室」と書かれていました。 きっとこの建物も文化財として指定されると、壊すに壊せないことになるのではないでしょうか。

しばらく晩秋の御堂筋をぶらぶらと歩き、銀杏並木に注ぐ太陽の当たりと、それをはね返す銀杏の葉の輝きを見ながら商都大阪の中心である御堂筋のふけゆく秋を楽しみました。

 

 

2004年11月



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です